ヘラ絞り加工(スピニング加工)とは…
ヘラ絞り加工(スピニング加工)とは、丸切りした金属素材を押物で固定し、それを回転させながらローラー(又はへら)を押し当てて塑性変形させ、徐々に金型に近づけて成形する加工方法です。
プレスによる成形との違いは、金型が一つで済むことと、製品の板厚を均一にしやすいということでしょう。
へら絞りによる成形は、ちょうどろくろを回して粘土を成形する様子を思い描いていただくとイメージしやすいと思います。金属板を回転させながら金型に押し付けていくことで成形します。
プレスはどうしても大きく変形させる部分の板厚が薄くなりがちです。
その点、職人が手の感覚で段階的に金型に押し付けるへら絞りは、金属板全体に無理なく力が加わるため、板厚が比較的均一に仕上がります。
長所
金型が1つだけでよいため、
- 低コストで製造可能
- リードタイムが短い為、短納期での製作が可能
- 多品種少量生産に向いている
- プレス加工と比べ、板厚が均一になる
短所
- 熟練した職人が必要
- 末端部の板厚が減少
- ヘラ目と呼ばれる加工痕が出る(手作業によるアジとして肯定的に評価されることも多いです)
ヘラ絞りに用いる素材
SPC・AL(アルミ)・CU(銅)・SUS(ステンレス)・BS(真鍮)・金・銀・ブリキ
全ての素材に使用可能ですが、若干、素材が延び加減になります。